知性鯵プール

ゲームのレビュー記事でも書こうと思ってたらレビュー記事を書けてないブログです。

おまえは、カートで坂を駆け降りろ

よく来たな。おれはアジ・ホース=マケロルだ。おれは毎日すごい数のゲームを遊んでいるが、誰にも教えるつもりはない。

しかし、今回はとくべつだ。就活中のくせにゲームばかりしている腰抜けのazyにコロナと万札を握らされてしかたなくこの文章をかいている。

f:id:mystiazy:20180525034122j:image

先日おれのSteamのギフトボックスに1作のゲームが叩き込まれていた。CART RACER」だ。おれはそれを遊び……こいつがしんの男のためのゲームであることをすぐに見抜いた。このゲームこそがスマッホンでピコピコして決して当たるはずがないと分かりながらガチャを引き、インスタグラむに爆死したとツイットして慰めあうようなやつらの中で消え去った真の男の気概を呼び覚ますゲームであると知らしめるために、おれはこのゲームを紹介することにした。

 

 

CART RACER」。スッチムという名のサボテンが立ち並ぶ荒野の片隅で堂々と看板を立てて売り出しているおそるべきバンデラスだ。それが98円で売られている。おれのちみつな調査でも開発元のHMF Gamesについてくわしくよく分からなかったが、モンスターフンターフロンティアのイニシャルに酷似しているのでたぶんカプんコ製だろう。

98円なので、おまえがスマッホンのゲームで麻婆ドリトスとかを引いて緑のゼリーに交換しているその金で何こか買える。たまにもっと安く売られている時もあるので、買い物上手ならばその時を待つのもいいだろう。真の男のゲームたけしの挑戦状でも、隠されたメッセージ読むため何時間も待つ必要があった。たぶん季節の変わり目とかにセールされる。

まずは買って、しんの男としての立ち振る舞いを思い出すための一歩を踏み出せ。

 

おまえは、カートに乗る

スチームに金を払い、みごとに「CART RACER」を購入しインストールを成功させたおまえは意気揚々としてゲームを起動する。ビールとドリトスを用意しろ。はじめにユニティのロゴマークが出るので、このゲームはポケモンGOとかのような最新ぎじゅちゅを惜しみなく注ぎ込まれたゲームだとわかる。記憶の奥底の乾いたメキシコのザラつく風を思い出しアドレナリンが止まらなくなるだろう。

そうしてタイトル画面に出て来たのはサングラスをかけたタンクトップの男と、ショッピングカートだ。おまえがクレイジー・バンチとの激しい銃撃戦を生き延び、スペーツパイレーツを壊滅させばくはつする惑星ゼーベスから脱出した真のゲームの経験を持つのならこのゲームがスキンヘッドの男を操作してカートを乗りこなす硬派なゲームであることを一瞬で看破したはずだ。

Steamの民主主義的投票制度ではこのゲームのひょうばんがほぼ好評となっている。割合にして72%なので、全メキシコ規模で言うとだいたい50億人くらいの人間がこのゲームから男の生き様を学び取っている計算結果が出た。

CART RACER」の概要を説明しよう。このスキンヘッドのタンクトップ男、仮にスティーブンとする……、スティーブンはメキシコシティーでの日々のソーシャルゲーム労働地獄に疲弊し、気付けば歳をとり金とベイブを得るチャンスを永遠に失っていた。

バーの腰抜けどもに嘲笑され、居ても立っても居られなくなったスティーブンは風に流れて飛んできたチラシを拾い、ニューメキシコ州開拓事業の情報を得る。ゴールドラッシュで一山当て、故郷に錦を飾り☆5バンデラスを編成画面ではべらせてインスタグラムでシェアーする夢を叶えるためにスティーブンは相棒のショッピングカートに乗って困難に挑む。おまえたちプレイヤーは彼のてだすけをする格好になる。

 

まずはカートにのりこめ

スタートボタンを押し、ゲームを開始しろ。第1メキシコがすがたを現わす。動かし方はシンプルで、昔ながらのマウスとWASDで操作するタイプのやつだ。

しかしそれだけではおまえは銃の構え方を覚えただけに過ぎない。銃は撃てなければ意味がなく、画面の中のスティーブンは丸腰と気づかずにメキシコの過酷な大地へ旅立つことになり、カラスの1ドットしかない糞に当たってむざんな骸を晒すことになる。

スティーブンの武器は目の前に置いてあるショッピングカートで、これは女神転生のCOMPと同じだ。こいつを使いこなすことこそがよちよち歩きのベイビーから成長する第1のステップだ。

スティーブンはジャンプし、ショッピングカートに飛び乗ることができる。これでやっと銃に弾丸を込めたことになり、おまえはこの過酷なメキシコで戦うすべを得た。うまく飛び乗れない? 何度も試せ。何十回とかかってもいいから基本をマスターしろ。 さいわいここは1ステージ目で、射撃訓練場と同じだ。落ち着いてやれ。

おまえが次に挑むべきは、ショッピングカートに飛び乗って坂道を猛スピードで駆け抜け、ジャンプ台を踏み切りモーテルの中のベイブに飛び込んでSUCSESSSSSすることだ。

ここでおまえが次に口を開くことなどお見通しだ。「エッ、さっきまでまっすぐ降りていくだけでよかったのに、いきなりハードルが上がりすぎだよ! 帰ってパラッパラッパーしよ……」とでもぬかすつもりだろう。動かない的というナメた存在は射撃訓練場と高台でスコープばかり覗いているチャージャーしかいない。おまえは銃を握り、殺し合いに身を投じた。途中なんども弾丸が肌をかすめるだろうが、敵が死ぬまでうちつづけていればそのうち殺せる。

ハッキリいって2面はチョーむずかしい。おれでさえ何十回もスティーブンを壁にぶつけて物言わぬ死体に変えてきた。だが、ここで何回もトライして無理だったからといってすぐに諦めスマッホのゲームのスタミナを気にし始めるようなやつは、そのうちゲームをすることすらもあきらめ、老い、人生の意味やシーライフなどについて考え、そして……死ぬ。

しかし、おまえの中にボーレタリアの大地やロードランを駆け抜け骨野郎の猛攻をけついひとつで乗り越えたしんのおとこの記憶があるのならば、このミニマルさの中に込められたほんとうのゲーム性を嗅ぎ取れるはずだ。

CART RACER」で求められることは非常にシンプルだ。カートに飛び乗り、スピードをつけ、ジャンプする。ジャンプ台からじゅうりゃくの制約を離れた瞬間、おまえのこれまでの動きがすべてジャッジされ、クリアサークルに飛び込めるかむ残な死体となるかが決まる。そこに運などのイレギュラーが入り込む余地はない。信用できるのはカートそうさの正しさと、おまえが修羅場をくぐりぬけてつちかった経験だけだ。

意図せぬ成功でも、積み重ねたすえのぐうぜんのしっぱいでも良い。窓の奥のベイブを抱いて一つのせいこうを掴んだスティーブンは、新天地を求めてステージ3のゴールのヘリコプターにのりこむ。三度おなじ坂道をカート滑走することになるが、基本はかわらない。おれから一つ言えることは、緑色の矢印はかなり加速して、すごく安定缶が増すのでルート調節はここでやってしまうといい。

ヘリコプターに乗り込み新天地にとびたつスティーブンだが、このゲームはKAPCONが作っているのでヘリは当然堕ちる。スティーブンは墜落現場で目を覚まし未開のメキシコに出会うが、そこから先はおまえ自身の目で確かめ、乗り越えろ。

Vジャンプのこうりゃく本のような事を言って終わらせる事をおまえは非難するかもしれない。だがおれはそんな戯れ言など聞き入れない。おれはおまえのママではないからだ。

おまえは融通のきかないショッピングカートの操作にたぶんかなりイライラさせられるが、その中で心の中に射し込むたしかな光に気づくだろう。それはかこくなメキシコさばくを放浪する中で遠景にオア寿司を見つけた時の道のりにも似ている。クリアできそうなのに何かが足りなくてクリアできない時、人はゴールするための努力を見せる。その時の体験はかけがえのないものだ。おれはそんなヒリヒリするような肌感覚を思い出させるために「CART RACER」をすすめたつもりだ。

おまえならこのブチョを殺し、おのれの中の一つのメキシコに決着をつけられると信じている。おまえのバンデラスを信じろ。幸運を祈る。