ドンキーコングトロピカルフリーズって知ってる？

どうもazyです。

もうすぐSwitch版が発売されるので、もしかしたら気になっている方もいるかもしれません。結論から先に申しますと超クッソ激烈に極上の横スクロールアクションゲームなので、どうかお付き合いください。

さて、皆さんが面白いアクションゲームに求める物は何でしょうか？バラエティ豊かなステージ？サウンド？歯ごたえ？やり込み要素？

このゲーム、トロピカルフリーズは上で挙げた全ての要素を兼ね備えた、今どき逆に珍しいくらい真面目に作られた横スクロールアクションゲームです。順を追って説明していきましょう。

本作の主役、我らがゴリラドンキーコングはコングファミリーと集まって誕生日パーティーを開いていました。そこに北の海のバイキング「ザ・スノーマッズ」が侵略行為を働きに来ます。ドンキーコングアイランドはみるみるうちに氷漬けにされ、スノーマッズの手によりドンキー達は遠くの島にぶっ飛ばされ追い出されてしまいました。ブチ切れたドンキーは仲間と一緒に故郷の島を奪還、スノーマッズをボコボコにするための冒険の旅に出発します。

Switch版の公式サイトにモロに6つのワールド紹介が載っているのでこちらでも紹介しますが、ドンキー達は「マングローブの生い茂る島」、「紅葉の美しい風車が名物の島」、「サバンナの島」、「海と海底遺跡がメインの島」、「フルーツ加工工場の島」、「氷漬けのドンキーコングアイランド」の6つの島を冒険します。

これだけならよくあるアクションゲームなのですが、このゲームは力の入りようが違います。例え同じワールドの中でも、1つとしてテーマや背景が同じステージがないのです。

例えばSFCのスーパードンキーコングを例に挙げてみましょう。ジャングル面がありますよね？バナナジャングル、ロープジャングル、タル大砲の谷、うらぎりマンキーコングの森、とジャングル面そのものは数があるのですが、どれもグラフィックは使い回しで、画面効果とかで差別化を図っています。他にも分かりやすく言うならノーティの遺跡、ノーティの遺跡2、みたいなあからさまなやつです。

トロピカルフリーズは違います。ちょっとサバンナの島を例に挙げてみましょう。

ライオンキングみたいな動物達のパレードの中を進む面。

トゲトゲの木の実の鳴るバオバブの木の林の面。

巨大竜巻の中をランビに乗って突き進む面。

大火事のサバンナの面。

１つとしてテーマが被った面がありません。グラフィックも1つ1つ全て別で、横スクロールアクションをやるためだけにこれら全て別々ののグラフィックが作られているのかと感動すら覚えることでしょう。

ステージの仕掛けもバラエティ豊かです。テーマの違う全ステージごとに求められることが違い、飽きがくることは絶対にないと思います。

ステージの構成もよく考えられています。１つ１つの面でギミックが異なるので、求められるアクションも違うのですが、スタート地点でそのコースの仕掛けの安全なチュートリアルが存在し、そこから順を追って難しくなっていきます。序盤からいきなり分からん殺しが始まることもなく、職人芸とも呼べる丁寧な作りをしているのです。

サウンドも必聴です。本作のコンポーザーはデビッド・ワイズ氏。名前を知らなくても、スーパードンキーコング2の作曲家と言えばわかる人もいるでしょうか。とげとげタルめいろとか作ったあの人です。

ゲームのバラエティに富んだステージに合わせて数多くの音楽が充てられています。使い回されている曲が少なく、大体がステージごとに書き下ろされていて、何よりアクションゲーム向けです。

定番のバナナジャングルやとげとげタルめいろのアレンジも存在し、ドンキーコング好きを満足させる出来栄えです。

さて、一番肝心な話をしましょう。このゲームをドンキーコングたらしめている要素。難易度の話です。

誤解のないように最初に書いておきますが、このゲームは相当な死にゲーです。死因の4割くらいが落下死、残り3割ずつが敵、ステージギミックです。そりゃあもうバカスカと死にます。ドンキーの体力は2。ディディーとかの相棒の体力を合わせると合計4つになります。ですがそんなこと関係ないと言わんばかりにステージ全体に殺意がみなぎっており、すごく嫌らしい敵の配置や攻撃、ステージギミックに晒されてあっというまに死んでしまいます。ジャンプ挙動も慣れるまで難しく、慣れてからもうっかりミスで落下死するような場面が非常に多いです。敵の攻撃を避けようとして足を滑らせて落下死する、というのが日常茶飯事です。ローリングアタックからのジャンプの軌道制御ができず足場を踏み外して死んだり、逆にジャンプ力の目測を誤って壁にぶつかってそのまま落下死。というのもよくある話。

ドンキーゴングはそのままだとただのゴリラなので、頼もしい味方3匹がそれぞれドンキーの背中に負ぶさって、追加装備となって攻略の手助けをしてくれます。

バレルジェットを装備してジャンプの飛距離を稼いでくれるおなじみの相棒ディディーコング。

おさげのパラシュートでジャンプ後さらに高度を稼いでくれる久々の登場ディクシーコング。

杖のホッピングジャンプで安定して高いジャンプ力を稼いでくれる貴様どこにそんなバイタリティがあるんだクランキーコング。

3匹の協力なくして殺意の宝石箱たるステージ攻略を安定して進めることはできません。是非とも馬車馬のごとくこき使ってやりましょう。

一部で有名なファンキーコングもショップを開いてドンキーの冒険をサポートしてくれます。本作ではバナナコインという通貨が存在し、ステージのあちこちに転がっているのを集めることができるのですが、意識していなくても気付いたら結構な量が貯まっています。ファンキーの店ではそいつと交換で、残機を売ってくれたり、体力を増やす薬とか落下しても戻ってこれる風船とか予備のコングバレルとかのお助けアイテムを破格の値段で譲ってくれます。ちょっとこれは無理だと思うステージに自由にアイテムを持ち込むことができ、安全安心の旅を送ることができるようになるのです。残機もモリモリと増えていくので、死にまくる割にはゲームオーバーの恐怖に怯えることもありません。

そう、このゲーム、やたら死にまくる容赦のない難易度と、ユーザーフレンドリーな充実した福祉が共存していて、いくら死んでも不思議と理不尽には感じないニクいバランス調整がされているのです。「セーフティネットは充実させたから、あとは心置きなく死んでね！」ってやつです。

ステージ内で死んでしまってもマップ画面に戻されるなんてことも無く、ほとんどロード時間を挟まずにすぐに中間地点からリスタートできます。自分の操作が下手すぎるとかこの部分難しすぎんよというストレス以外からは無縁の福祉の行き届いたゲーム体験が可能です。

Switch版はそれに加えて、より主人公側に有利な条件でプレイできる(簡単になるとは言ってない)ファンキーモードというものが追加されるようです。プレイヤーはファンキーコングを操ることができるようになり、2段ジャンプができるようになったりサーフボードで床のトゲを無効化したり水中面で酸素無限化したりとやりたい放題の強化がされます。お前マリオカートWiiで懲りたんじゃなかったのか。本編の主役すら食ってるじゃないか。

Switch版が初めてで、アクションゲームに自信がないという方もこの破天荒すぎるモードで良質なこのゲームをクリアするまで楽しく遊ぶことができるでしょう。

ダメ押しと言わんばかりにやり込み要素も充実しています。各ステージ内部にはKONGパネルが隠されていて、ワールド内の全てのステージでパネルをコンプリートすると隠しステージが解放されます。それがまた異常に高い難易度なのですが、各ワールドにある高難易度隠しステージを全てクリアすると更に隠しワールドが出現し、そこの高難易度面をクリアすると選択式のハードモードが追加されます。

ハードモードではいわゆるオワタ式となり、中間ポイントが廃されたステージを裸一貫で攻略していくことになります。これがボス面含めて全ステージで遊べます。

その上全ステージでタイムアタックモードが遊べるようになり、金銀銅プラチナの評価を求めてステージクリアまでのタイムを競うことができます。タスマニアとかどっかで聞いたことある話ですね。

他にもステージ内に隠されているパズルピースを全て探したり、バナナコインを支払ってフィギュアのガチャが引けるとか細かい要素があり、サウンドテストも完備されています(非完全。微妙に聴ける曲が少ない)。

総評すると、今どき珍しいくらい真面目に作り込まれたてんこ盛り横スクロールアクションゲームです。WiiUかSwitchをお持ちで、良質なアクションゲームに飢えているという方なら買って損はありません。ゲーマーのための一種の桃源郷とも言ってよいでしょう。それくらいベタ褒めできるゲームです。

我こそはと思う人ならば普通に遊べばいいですし、ちょっと自信ないという人も自分で難易度調整ができ、ライト層からコアなユーザーまでアクションゲームをみっちりと遊ぶことができます。

ドンキーコングシリーズの会心作、トロピカルフリーズをこの機会に遊んでみてはいかがでしょうか。

ついでと言っては何ですが、前作のドンキーコングリターンズも合わせておススメしておきます。こちらは3DSで遊ぶことができ、負けず劣らずのクオリティのアクションゲームを楽しめる快作です。